ミス・フェアリー・スムージー 第二回
<シンプルなゲーム>
正解は一つではない。
揺は大きく息をつくと、目の前のモニターをもう一度凝視する。
「もうカルロスから元気を奪うしかない。奴の要求を飲んだとしても、元気は間違いなく殺される。奴のやり口はよく知ってる」
検索ワードを新たに打ち込む。
“カルロス・メリメ・メデンテ コロンビア アジト”
こうして検索しても、出てくるのは古いデータばかり。
「現地のエージェントは?」
Kが訊く。彼らの機関には世界中にエージェントがいて、絶えず情報を送ってくる。
「新しいカルロスのアジトは昨日爆破されたばかりだし、エージェントとも連絡がとれない。奴に直接訊くしかないか」
腹ただしげに揺が立ち上がる。
「何が欲しいんだ?カルロス!」
ドレンから取り上げたブリーフケースには、偽造パスポートのほかに飛行機のチケットも入っていた。
「コロンビア行きだけど…。罠だよね?」
Kはただ頷いただけだった。
揺はホルスターからSIGを抜くと薬室内を確かめた。
「ワールドシリーズになりそうだな」
こちらから連絡をとるまでもなく、カルロスが揺の目の前に現れて、彼女は正直狼狽した。
「久しぶりだな、ミス・フェアリー。そろそろ来る頃だと思ってただろ?」
どうやらお見通しらしい。彼女はカルロスの部下に両脇を抱えられ、カルロスのリムジンに乗り込んだ。
「何が欲しい?」
カルロスはその問いには答えず、指を鳴らした。
「!!!!」
揺はただ驚くばかりだった。
元気が、自分の息子が椅子に縛り付けられ、目隠しをされ、猿轡を噛まされている!
彼女の血が逆流を始める。
目は血走り、彼女は拳を握り締める。
許せない!
「どうやら本気のようだね」
カルロスはにやりとすると彼女のSIGから弾倉を抜き、スライドを引いて薬室内の弾丸を抜いた。
「シンプルなゲームだ。おまえがこの俺の仕事を受け、達成できたらガキは返してやる。いいな?」
どこがシンプルだ。こいつはいつも言うことやることがまったく違う。
「仕事って…。どうせろくなことじゃないんだろ?あんたはそもそも品がないから」
つづく

